このたび、第20回日本PTEG研究会学術集会の当番世話人を拝命しました、鶴岡協立病院の高橋美香子です。第20回日本PTEG研究会学術集会は、2022年9月、金沢文化ホールにおいて開催します。
当院は(研究会開催の石川県ではなく)山形県鶴岡市に位置し、医療圏は約10万人の地方小都市にあります。地域医療は年々厳しさを増し、医師・看護師・薬剤師等々医療スタッフの不足から医療活動の縮小を迫られるところも多々あります。その中で、「安心して住み続けられるまちづくり」を目指し、これまでに3000件を超えるPEG(経皮内視鏡的胃瘻造設術)と200件を超えるPTEG(経皮経食道胃管挿入術)を行い、経口摂取のみでは十分に栄養摂取できない方々の栄養状態の向上や、がん末期の方々の経鼻胃管やイレウス管減圧の苦痛緩和につとめてまいりました。さらに地域では、造設後の交換やメンテナンス・トラブルの相談と対応・学習会開催などのサポートも継続して行ってきました。
2020年、コロナ禍の影響で本学術集会も1年の延期を余儀なくされました。自身の行う医療が「不要不急なのか?」自問自答する日々でした。しかし、胃瘻(PEG)/食道瘻(PTEG)を柱とした長期的な栄養ルートの導入は、コロナ禍にもかかわらず当地域においては減少することはなく、栄養療法は「不要不急」ではなく「必要緊急」なものであると改めて気づかされることとなりました。(減圧PTEGはもちろん必要緊急です。)
PTEGは手技・医療保険制度とも徐々に確立してきましたが、PEGと比較すると一般的な認知度はまだ十分とは言えません。特に介護分野においては介護職の可能な医療行為として明記されておらず、PTEGの普及導入に当たっての大きなバリアーとなっています。しかし、胃切除術が広く行われるようになった世代の方々が高齢になり、栄養不良や癌になった時、栄養瘻・減圧瘻としてPTEGを必要とするケースは数多く見られます。こういった方々がどこにいても最寄りの地域でPTEGを受けられることができるよう、益々の啓発に努めなければならないと思っております。
今回のテーマは「それぞれのPTEG」です。内科・外科・放射線科・緩和ケア・リハビリ科・訪問診療・看護ケア・療養支援・そして患者家族などなどそれぞれの立場でPTEGと向き合っている現状を多方面より紹介したいと思っています。技術研修としてのハンズオンセミナーや(前日には)「第26回 PEG・在宅医療学会」が同会場で開催されます。合わせてご参加いただければ幸いです。)本会に参加していただくことで、PTEGをより安全に造設し、安心して日々の管理ができ、困ったときの相談先となる人脈が築けるようになればと祈念いたします。
ご参加の皆様に、「PTEG成人式」を楽しんでいただけることを目指し、努力してまいります。ぜひ、金沢へおいでいただき、一緒に盛り上げていただければと思います。よろしくお願いいたします。
2021年8月
第20回日本PTEG研究会学術集会
当番世話人 髙橋 美香子
(鶴岡協立病院 副院長)

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